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◆吉永小百合――限りなく日本の故郷に近い<永遠>

吉永小百合残念なことに、吉永小百合の時代はもう終わったと、最近の映画作品を見てつくづく思う。
造り手に人材を得ない部分もあるが、より以上、もう時代が吉永小百合の身に沿うようなものではなくなった、ということである。もっと下世話に言えば、吉永小百合が担ってきた貧乏や孤独や哀切の想い、ひたむきさ、彼方を遠望するような理想の虹すらも滅んだ、ということである。

かつて吉永小百合は、少女が持ち得ていた<健気><ひたむき><汚れなさ>などの、多くの男が女に対して抱くア・プリオリな憧れの次元で、忘れ難い要素に満ち充ちていた。
吉永小百合は、ある世代には一種<神聖不可侵>の象徴でもあったが、ことのそれは日本が経済成長を遂げる前に過ごした青春を知る者に、彼女は貧苦の内の<星>であった。

当時彼女の出演いた映画の多くは、京浜工業地帯を舞台とする、定時制高校や工員・女工の青春を描いた作品であった。そこで吉永小百合は、恵まれない仲間を激励し、トラブルを収拾し、勇気と信頼の輪を広げるヒロインを、いつも健やかな微笑みと、彼方を遠望するようなまなざしで演じ続けた。

吉永小百合2一般的には初期の代表作として「キューポラのある街」('62)があるが、さらに「ガラスの中の少女」('60)、「泥だらけの純情」('63)なども忘れがたい印象を残す。
当時の吉永小百合は、まさに四囲が真っ暗闇にも見える挫折と苦衷にあるものにとって、一条の光源を灯す存在であり、筆者など「おふくろの味」というビートルズ<ヘイ・ジュード>を主題曲とするTVドラマなどもそうしたわが時代における道標だったような気がする。

多分、吉永小百合の芸域は広いものではない。
けれども逆境を寡黙に絶え、ひっそりと一途な想いを育て、絶望や諦観に流されない強さを持った、いわば日本の古典的女性を演じて随一、しかもそうした女性像はある意味で滅びつつある文化的伝統のひとつでもあったから、極めて希少な輝きを時代に照らしてきたわけである。

たとえば「動乱」('80)や「海峡」('82)で海辺にたたずむ吉永小百合から遠望されるものは、日本の山河、日本の大地、日本の故郷である。これが他の女優であったなら、作品の出来不出来、役柄の配置設定、共演者とのコンビネーションなどに大きく左右されてしまうに違いない。
だが、吉永小百合はここで、伝統的な<男気>の風合いを持つ高倉健と並ぶ利もあって、ここにはまったき日本の<永遠>さえ見えるのである。

細雪控えめであればあるほど美しさが匂い、寡黙であればあるほど熱情の強さが薫り、ひたむきであればあるほど<永遠>への道標が見える。そんな女優として、かつて吉永小百合は明らかに存在していた。

彼女は役柄を演じるタイプではない。役柄がむしろ彼女に寄り添う種類の女優である。もともと映画女優とはそうした大きなパーソナリティだったのである。今のところ日本映画最後の名品といってもいい「細雪」('83)の雪子は、その意味でも満腔の想いを身ひとつにしまいこんだ、見事な適役でもあった。

<吉永小百合>Sayuri Yosinaga(1945.3.13〜)フィルモグラフィ
◆いま観ることのできる吉永小百合出演作品◆

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